Zuihitsu

何が誰の役に立つか分からないご時世なので、好きなことを好きなだけ。7割自分用メモ用紙でごめんなさい。

映画:21世紀の資本

さて、原著は有名なアレです。

21世紀の資本

21世紀の資本

 

凶器的な分厚さで、正直読んだこともなく、どういった主張をしている本なのかもよく存じていませんでした。堂々と言ってしまうが。だがしかしアラサービジネスマンともなると、名著の内容を読んだことがなくても知らないとなんとなく恥ずかしく思うものです。だからこそ103分で分かるならええやん!という超軽い気持ちで見に行きました。

内容自体の詳しい解説は書評や専門家に頼るとして、簡単にメモをしておけば「過去200年以上のデータ分析から、資本から得られる収益=資本収益率が経済成長率を上回っており、つまり富のあるものへ富が集中するというもの」と言ってしまって良いでしょう。(多分)
その200年の状況を過去の本作品では名画や実際の映像アーカイブを用いてビジュアル的に強烈に描き出しています。例えば18〜19世紀の西洋貴族社会などはまさに富の集中の典型だと思いますが「プライドと偏見」「レ・ミゼラブル」などのシーンが用いられています。
しかしこうした偏りはフランス革命世界恐慌、大戦によって壊され、均されてきました。そして均された土地から、また新しく競争と格差が発生していきます。戦後の回復の中で資本主義が寄与したことも間違いありませんが、またそこからもいくつかの戦争、リーマンショックといったできごとは繰り返されてきました。近年大手IT企業への資本集中やタックスヘイブンによる税逃れがよく取りざたされます。映画終盤で、収益を得た地域で課税されるべきであるという主張もありますが、世界的なルール構築が必要なことでありなかなか難しい話です。

ところでピケティが一番映像化で伝えたかったのは、このままでは悲惨な歴史が繰り返されてしまうということなんだろうと私は受け取りました。この訴えは700ページの本ではなかなか広くは浸透しなかったでしょう。その意味で製作者の意図通りの構築がなされた良い作品であると思います。メッセージ性が強いだけに、鑑賞後の胸焼け感はかなりありましたが…。これもおそらく意図通りなんでしょう…。

ちなみに、たまに中高生やお子さんにも見せたいという意見もあるようですが、正直日本の金融教育リテラシーで見せるのはかなり難しい、ただ強烈な映像を見せられてよくわからない恐怖心に陥れるだけな気がして個人的にはオススメできません。w